lgel8937(のみね)の思い付いたら書く日記

書きたいときに、書きたいものを書く、雑多な日記置き場です。

フィクション

先日、休みを利用して母と映画に行った。

スター・ウォーズのエピソードⅨを観た。

非常に久しぶりの映画体験だった。

 

母はスター・ウォーズファンで、エピソードⅣをリアルタイムで観ており、自分の青春はアレだったと言い切っているほどだ。

各エピソードのストーリーを空で綿密に言えるみたいな物凄い大ファンというわけでもないが、子育てに苦労している最中、自分のペースで続編を追っていたように記憶している。

 

そんな私もスター・ウォーズは詳しくこそないが結構好きな類である。

ただ、エピソードⅦとⅧは先日の金曜ロードショーで初めて見た程度。Ⅸはとりあえず、レイとカイロ・レンがこの後どーなるのかなくらいの気持ちで観た。

 

ファンの中ではⅦ〜Ⅸの出来、およびⅨのエピソード自体にも賛否両論あるようだが、個人的にはかなりガッツリワクワクしたし凄く面白かった。(どうやらⅧからのストーリーの手のひら返しがあるらしいが、丁寧にⅧを観てなかったのもあるがその辺りは全く分からなかった。王道ストーリーが大好きなので最高だった)

 

が、母がそれより非常に感動しており、「私の40年間の青春がいま完全消化され、非常に清々しい気分」という言葉を皮切りに、面白かったシーンや気になったワードをまくし立てながら沢山語ってくれて、それがなんだか妙に嬉しかった。

過去作リスペクトのシーンはあれこれだ、レイア姫の役者さんってこれを撮る前に亡くなってたよね!?どうやって出したのかな!?、ラストのシーンはどうこうで最高に思えた、など、ここ最近は特に忙しそうに働いている母が、久しぶりに熱く作品について語る姿を見て幸せだった。

そういえば、フィクション、そして創作物って心をワクワクさせるものだった。

そんな当たり前のことを不意に思い出した。

 

そんなことが先日あったのに加え、昨日は綾辻行人の「十角館の殺人」を読了した。

数年前(!)、親愛なる後輩に「なんかお勧めミステリはないか」と聞いたら返ってきたのがこのタイトル。

当時停滞していた?ミステリ界に「新本格」という風を吹かせた、一行で全てがひっくり返る超名作、とのこと。

聞いた当時アガサ・クリスティにはまっており古典ミステリをチョロチョロ読んでいたのもありすぐに購入を決め、読み始めたものの、どうも作中の人物像が全く頭に入らず(多分当時の環境的に頭がキャパオーバーで創作物をまともに読みこなせなかったのだと思う)、何度か試しても毎回挫折し、ずっと積読をしていたものである。

冬休みに入って、待ち合わせをする時間にもう一度初めからゆっくり読んでみようという気が起こり、昨日読み始めたら、頭のキャパが復活していたようでスラスラ理解でき、さらに面白くて面白くて、ガガっと一気に読み終えた。

 

いやはや面白かった。なんとなく犯人の予想はついていたものの(これが私にしては珍しく当たっていた)、全く動機や殺人方法がわからなかったのだが、見事に一行で全部をひっくり返され、すべての伏線を回収されてしまった。

※以上の様に書くと誤解されそうだが、ミステリ好きな割に普段も全く推理して読まないので、だいたい叙述トリックには華麗に引っかかるタイプであることを併記しておく。

色々書くとネタバレになるので言えないが、兎にも角にも金字塔と言われるのがよくわかる名作だった。感服。

 

この二つの体験だが、作品を介して心躍る様な体験をするのは随分と久しぶりだったので、新鮮な感動に対して心が錆びてしまってはいないか、など心配をしていたところがあったが、きちんと自分の心は作品に反応してくれた。

描く喜びに通ずる、作品を楽しむ喜びという体験がこの年末にできたことは大きいな、と思い筆を取った。

 

ノンフィクションは面白いし、奇想天外で良いと思う。

一方で、フィクションは技巧に満ちた面白さに溺れるのがとても粋で心地よいと思う。

しばらくの間ノンフィクションにお世話になっていたが、ちょっと現実を抜け出して、創作の波に乗っていく楽しさをこの数週間で思い出した。

 

年末は時間がある。

休みに何をしようかな、色々やりたいな、と思っているが、一つ、何か楽しく描ききってみよう、と思った。